生活相談員の1日 独居生活の課題と施設入居の決断について

本日、あるご利用者様の調査に伺いました。
この方は独居で生活されており、ご自宅内には段差が多く、トイレやお風呂場までリビングから距離がある環境でした。
ご本人は歩行自体は可能ですが、「寒い」「めんどうくさい」「動きたくない」という気持ちから、ヘルパーが来るまではこたつから動かない生活をされています。


🔹現在の生活状況とリスク

✅ ヘルパーが来るまでリビングのこたつで過ごす
 → その間、食事・トイレ・入浴などの動作を自発的に行わない

✅ トイレに行かず失禁状態になることが多い
 → 水分も控えてしまい、脱水のリスクが高い

✅ 娘様も仕事で頻繁に様子を見に行けない
 → 本人の健康状態を把握しきれず、急な体調変化が心配

ご本人も現状について理解されており、「施設に入ろうかな」と納得されていました。
しかし、「帰れない」と知ったことで迷いが生じ、「もう少し考えたい」と発言されるようになりました。
娘様も「時間をかけて説得したい」と考えており、しばらく調整期間が必要な状況です。


🔹このようなケースで相談員ができること

施設への入居が望ましいと考えられるケースですが、ご本人が不安を抱えている状態で無理に入居を進めることは、心理的な負担につながる可能性があります。
そこで、以下のような対応を心がけることが大切です。

✅ ① ご本人の気持ちに寄り添う

突然の環境の変化は、ご本人にとって大きなストレスになります。
「帰れない=今までの生活が完全になくなる」と感じることで、不安が大きくなっている可能性があります。

📢 対応例

「施設に入ると、こたつで過ごす時間がなくなるのでは?と不安に思っていませんか?
施設でも暖かい居場所を作れますし、お部屋でくつろぐ時間もありますよ。」
「トイレやお風呂も近くなるので、今より楽に過ごせます。」

ご本人の生活環境が**「完全になくなる」のではなく、「より安心して快適に過ごせるようになる」**ことを伝えると、前向きに考えやすくなります。


✅ ② 娘様と連携し、無理のないタイミングで入居を調整

娘様もお仕事があり、頻繁に関わることが難しい状況ですが、最終的にはご本人が納得した上での入居が理想的です。
そのため、娘様の説得を待ちつつ、施設側としても入居に向けた準備を進めておくことが重要です。

📢 対応例

「娘様の説得が進むまでの間、仮に体調が悪化したり、急な変化があった場合はどうしましょうか?」
「早めに入居することで、娘様の負担も軽くなりますが、何かご本人が気にされていることはありますか?」

娘様にも、ご本人が納得できるようサポートする形を取ることで、家族全体が安心して決断できるようになります。


✅ ③ 施設入居のメリットを具体的に伝える

ご本人が施設入居を前向きに考えられるよう、メリットを明確に伝えることも大切です。

現在の生活施設入居後の生活
トイレが遠く、行くのが億劫トイレが近くなり、すぐに行ける
失禁のリスクが高い介助があるので失禁を防げる
水分を控えがちスタッフがこまめに水分補給をサポート
こたつで動かない時間が長いリビングで暖かく過ごしつつ、適度な運動も可能

📢 対応例

「今の生活は不便なことも多いと思いますが、施設ではトイレやお風呂もすぐ近くにあって、寒さを感じることも少なくなりますよ。」
「スタッフが定期的にお手伝いするので、水分補給も安心です。」

このように、入居後の具体的な生活イメージを伝えることで、不安を減らしやすくなります。


🔹まとめ:相談員としての役割とは?

今回のケースでは、
✔ ご本人の気持ちに寄り添いながら、施設入居のメリットを伝えること
✔ 娘様と連携し、納得のいくタイミングで入居を調整すること
✔ 現状の生活リスク(失禁・脱水など)を考慮し、必要に応じて早めの入居を促すこと
が求められます。

最終的に大切なのは、ご本人が「ここなら安心して暮らせる」と思えることです。
入居を無理に急がせるのではなく、「ここに入ってよかった」と思える形で決断できるよう、相談員として丁寧にサポートしていきたいですね。

今後も、施設入居を検討される方々にとって、安心して相談できる環境を作っていきたいと思います。