新しく入居された方の対応について、職員間で話し合う機会がありました。
この方は認知症はないのですが、一度話し始めると30分、1時間と話が止まらず、職員の業務にも影響が出てしまう 状況です。
また、昨日の食事の時間には、同席した入居者の方と2時間ほどお話をされていました。問題なのは、この同席者の方が、気に入らない相手には拒絶やいじめのような態度をとってしまうことがある という点です。
初日からこれだけ長く話をしてしまうと、少しでも気に食わないことがあれば、急に関係が悪化する可能性もあり、職員としてはハラハラしながら見守る状況でした。
1. 新規入居者の特徴と背景
今回の入居者様は、若い頃から片麻痺があり、仕事は家でできる仕事 をされていました。
そのため、長年1人で過ごす時間が多く、他者との会話や共同生活の経験が少ない ことが考えられます。
また、ヘルパーのサービスは利用されていたものの、1対1の関わり だったため、施設のような**「集団生活」のルールや距離感に慣れていない** 可能性があります。
これまで自由に話したいときに話し、静かにしたいときには1人でいる生活 を送られていたため、施設でもそのスタイルを自然に続けてしまっているのかもしれません。
2. 共同生活での関わり方の工夫
① 「話す時間」と「控える時間」のバランスを取る
この方は、「相手も長時間の会話を負担に感じるかもしれない」 という意識が薄いため、
「ここでのお話は○○分くらいにしましょうね」と時間を決める習慣をつけてもらう ことが大切です。
- 食事中は「話しすぎて冷めてしまうともったいないので、ほどほどにしましょう」と伝える
- 職員との会話が長引く場合、「この後○○があるので、あと5分だけお話ししましょうね」と区切りをつける
また、職員だけではなく、他の入居者に対しても 「話す時間を決めることが、お互いにとって良い関係を築くコツですよ」 と説明すると、自然に理解してもらいやすくなります。
② 「話し相手」を分散させる
特定の職員や入居者にばかり話しかけてしまうと、その人への負担が大きくなり、関係が悪化する原因 になります。
- レクリエーションや共有スペースでの交流を促す(話す相手が増えることで、特定の人への負担を軽減)
- 1対1の会話だけでなく、グループでの会話に参加してもらう(少しずつ共同生活に慣れてもらう)
例:
「○○さん、今日は食堂の他の方とも少しお話してみませんか?」と声をかけ、自然に話し相手を広げる。
③「話すことが楽しい」以外の活動を増やす
話し続けてしまう方は、「話すこと」自体が楽しみになっていることが多いため、会話以外の楽しみを見つけてもらうことも大切 です。
- 軽作業(タオルたたみ、新聞並べなど)をお願いする(話す以外の時間を作る)
- 塗り絵や手芸などの趣味活動を提案する(集中できる時間を増やす)
- 職員や他の入居者と「一緒にできる活動」を増やす(「話すこと」以外の交流の場を作る)
例:
「○○さん、ちょっとこの新聞を並べるのを手伝ってもらえますか?」
「今日のレクリエーション、参加してみませんか?終わったらお話ししましょう!」
こうした声かけで、話す時間と別の活動をする時間のバランスを取る ように促します。
3. トラブル防止のための対応策
① いじめのリスクがある入居者との距離を調整する
昨日の食事の席で長時間話していた方が、「気に入らない人を拒絶する」傾向があるため、急な関係悪化を防ぐ工夫が必要 です。
- 食事の席を調整し、毎回同じ人とだけ話す状況を避ける
- レクリエーションの際も、いろいろな人と交流できるよう誘導する
- 職員が間に入って会話をサポートし、険悪なムードにならないよう調整する
例:
「○○さん、今日は別のテーブルで召し上がってみませんか?」と声をかけて、自然に席を移動させる。
② 話をしすぎてトラブルになりそうな場合の介入
- もし話し相手が「もう話したくない」という雰囲気になったら、職員がさりげなく間に入る。
- 例えば、「○○さん、そろそろ休憩しましょうか」「次の活動に向かいましょう」と、次の行動へスムーズに誘導 する。
4. 生活相談員としての関わり方
- 新規入居者が「共同生活」に慣れるためのサポートをする
- 職員が対応に困らないよう、具体的な声かけや対応策を共有する
- 入居者同士のトラブルを未然に防ぐため、関係性を把握し調整する
新しく入居された方が、「話すこと」だけに依存しない生活 を送れるように、少しずつ環境を整えていくことが大切です。
まとめ
- 長時間の会話が続かないよう、時間を区切る習慣をつける
- 話し相手を分散させ、特定の人だけに負担がかからないようにする
- 話す以外の楽しみを見つけてもらい、活動のバランスを取る
- トラブルのリスクがある入居者とは、適度な距離を保つよう調整する
- 職員が対応に困らないよう、具体的な対策を考えておく
共同生活の場では、一人ひとりの生活スタイルの違いに対応しながら、「全員が安心して過ごせる環境」 を作ることが大切です。
これからも、入居者の方々が無理なく、楽しく過ごせる方法を考えながらサポートしていきたいと思います。